現代までにホラー映画は、あの手この手と観客を怖がらせようと新たなジャンルを発明してきました。そして、現代の監督や脚本家は多岐にわたって確立されたジャンルを表現様式の一つとして、多重的またクロスオーバーさせて新たなホラー映画を作り出しています。
そんなホラー映画のいろいろなジャンルについて調べてみました。
ジャンル分けについては、人それぞれの感性によって変わってくること。また、ジャンルがクロスオーバーされてジャンル分けしにくい作品、広義的・狭義的でジャンル分けが変わる作品があります。そのため、一部独断で分けた作品もあります。
ホラー映画の歴史は、エジソンが開発した箱をのぞき見する「キネトスコープ」で1895年にエジソン社のウィリアム・ハイセ監督が発表した『メアリーの処刑』から始まります。
約20秒ほどのかんたんな特撮でさつえいした首を切断する映像。
今の時代で見れば簡単なトリックを使った撮影ですが、当時としてはなかなかセンセーショナルな映像ではなかったでしょうか。
一番最初のホラー映画と言われているのが1896年公開されたこちらの映画と言われています。タイトルがいくつもあり『Le Manoir du diable』または『The House of the Devil』、アメリカでは『 The Haunted Castle』そしてイギリスでは『The Devil’s Castle』で公開されました。
むしろ滑稽な感じ。
その後ドイツからストーリーのある表現主義映画『カリガリ博士』が1920年に公開されました。(元祖夢オチ映画でもあります)『カリガリ博士』の撮影表現はその後のホラー映画やサスペンス・スリラー映画に多くの影響を与え、ホラー映画の文化が開いて行きます。
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目次
- そもそもホラーとは
- 多彩なホラー映画のサブジャンル
- 中世の雰囲気が美しいゴシック・ホラー
- もう耐えられない極限状態!パニック・ホラー
- 人間の狂気が最も怖いサイコ・ホラー
- ホラー映画の人気ジャンル!ゾンビ・ホラー
- 現代社会の闇を垣間見るモダン・ホラー
- 極限の恐怖!エクストリーム・ホラー
- ホラー映画に欠かせないサブジャンル!オカルト・ホラー
- 陰湿な怖さと悲しい物語に引き込まれる、ジャパニーズ・ホラー
- 強烈なゴア表現!タフなヒロインが立ち向かう、ニューウェーブ・フレンチホラー
- 笑いとホラーと実は相性がいい!?コメディ・ホラー
- フィクションの中のフィクション!?メタ・ホラー
- 近未来的の恐怖!SF・ホラー
- 戦慄の世界観!ダーク・ファンタジー
- サスペンスとスリラーの違いについて
- 価値観が違いが怖い!フォーク・ホラー
- まだまだある!マイナーなジャンル
そもそもホラーとは
ホラー映画の定義は広義的・狭義的分けて定義するべきだと私は考えました。
広義的にホラー映画のジャンルを定義するとするなら、観客に恐怖を感じさせるのを主なる目的に作られた映画が「ホラー」といえます。厳密には齋藤幸樹氏の卒業論文がうまくまとめられているので、引用させてもらいます。
① 登場人物が何らかの脅威に直面して、その脅威をもたらす対象に恐怖・嫌悪を抱く状況が主に描かれている。
② その描かれた脅威の対象は、多くの人々が通常、恐怖・嫌悪の情動を抱くと予想されるものである。
③ 鑑賞者も描かれた対象に対して恐怖・嫌悪の情動を抱くことが、作り手の主な目的として意図されている。引用:齋藤幸樹氏の卒業論文
どのジャンルに関わらず、すぐれた物語のある映画・小説は観客が登場人物(特に主人公)に自己投影されるように書かれています。その自己投影された登場人物たちに脅威がふりかかることであたかも観客自身に脅威が迫っているような錯覚に陥ります。
そして観客に恐怖だけではない、驚き・嫌悪や諦め・不安(未知の敵や逃亡できるかといった)といった恐怖を盛り上げる要素も与えられます。ここで重要なのはそれらの要素の比率。
『エイリアン1』と『エイリアン2』で比べるとわかりやすいと思います。『エイリアン1』では未知なる未確認宇宙生物への恐怖が強いSFホラーですが、『エイリアン2』ではヒロインのリプリーはキャメロン映画ならではの戦うヒロイン像が全面に押し出されたSFアクションとなっています。
また、狭義的にホラー映画を定義するなら、怪物や超常現象で観客を怖がらせる映画を指します。
『ソウ』や『ゲット・アウト』は観客を怖がらせるという点では広義的にはホラー映画ですが、狭義的には怪物や超常現象はなく犯罪映画のため、ホラー映画ではなくスリラー映画といえます。
多彩なホラー映画のサブジャンル
ホラー映画を盛り上げてくれる要素(ジャンル)についてそれぞれ解説していきます。まずはホラー映画の古典ゴシック・ホラー。マイナージャンルも含め34ジャンルについて調べてみました。
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中世の雰囲気が美しいゴシック・ホラー
15世紀から18世紀ぐらいの主にイギリスのゴシック様式で建てられたお城などを舞台に描いたホラーです。
ゴシック・ロマンスの特徴は、ゴシック様式の城や地下といった非日常空間、亡霊、悪漢、迫害される乙女、孤児、近親××、多様な性の表現、陰謀、出生の秘密、複雑な人間関係、精神的分身(幽霊が存在せずとも別の人物が幽霊の代わりに成り立っている)、「日記、手紙、手記、告白」といった語りなどが物語を引き立てる道具となっています。
ドラキュラやフランケンシュタイン、狼男などが有名ですね。ゴシックホラーは迫害される女性・ロマン主義・恋愛要素が含まれることも多くゴシック・ロマンスと言われたりします。
ゴシック・ロマンスとは
ゴシックとは、12世紀にルネサンス人がゲルマン人の一部ゴート人を野蛮だとして、侮辱的によんだ蔑称でした。12世紀後半から15世紀にかけてのアルプス以北の建築様式であるゴシック建築から来ています。18世紀にゴシック建築を復興する「ゴシック・リヴァイヴァル」が流行り、建築にとどまらず文学を始めとした芸術、社会的思想にも影響を与えました。
また、ゴシック小説には近代小説の祖と言われるサミュエル・リチャードソンなどの感傷小説のモチーフ”迫害される乙女”や〈ロマンス〉という言葉のはしりとなる騎士道物語の恋愛要素。そして、18世紀末からヨーロッパで流行りはじめた〈ロマン主義〉も『フランケンシュタイン』や『ノートル・ド・パリ』といった作品に取り入れられています。
こちらの動画は1910年(明治43年)「エジソン・スタジオ」によって制作された映画です。メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』の映画化はこれが初めてです。
製作にはトーマス・エジソンの名前が入っていますが、実際には関わっておらず名前を借りただけ。
SF小説の古典でもあった『フランケンシュタイン』
生命創造の研究に没頭する若き科学者フランケンシュタイン。墓場を掘り起こし盗んた死体をつなぎ合わせてあまりにも醜いモンスターを作り出してしまう。名もなきモンスターは、醜さのゆえ世間から忌み嫌われ迫害され、殺人をくりかえしていく……。
『フランケンシュタイン』の恐怖のポイントは2つ。「抑圧された本能=汚くて醜いモンスターが襲ってくる脅威」と「自走するテクノロジーの恐怖」
イギリスのSF作家ブライアン・オールディスは「十億年の宴」で、テクノロジーで人造人間を作り出す点において、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』はSFの祖と語っています。
イメージを定着させた1931年『フランケンシュタイン』
1931年ユニバーサルモンスター映画の一つ『フランケンシュタイン』ベラ・ルゴシと並ぶホラースター、ボリス・カーロフを有名にした作品。
原作の怪奇部分を凝縮した出来栄えとなっています。四角いボルトの刺さった頭、分厚いまぶたといった誰もが思い浮かぶフランケンシュタイン像を確立しました。
原作の怪物とは違い映画版の怪物は、知性が2才児並に低い。善悪の判断さえできないため殺人を犯し悲しい結末を迎えます。
まさかの悲しすぎるラスト『フランケンシュタインの花嫁』
『フランケンシュタイン』で怪物が死んだと思っていたが、どっこい生きていてまさかの続編『フランケンシュタインの花嫁』。前作よりも怪物の知性があがり、本作品の主人公は怪物となっていて脚本の厚みもましています。そのため、前作よりも断然面白い作品です。
原作ではかなえられなかった花嫁を創造してもらえたが、まさかの悲しすぎるラスト。

ゴシックホラーの代名詞『ドラキュラ』
ブラム・ストーカーは、怪奇伝承と「串刺し公」である残虐なヴラド・ツェペシュを結びつけて小説「ドラキュラ」を書き上げました。女性の生き血を狙うモンスターを倒すためヘルシング教授がドラキュラと死闘を繰り広げる……。
ゴシック建築の城、非情なモンスター、襲われる乙女、「日記、手紙」での文章表現、性的な表現といったこれぞゴシックホラーとも言える『ドラキュラ』。20世紀でもっとも評価の高いホラー小説とも言われています。
多くの研究者からあらゆる考察の対象となった作品としても有名で、セクシャリティな視点での考察なんかはもはや一般的ですね。
キャラクターとイメージを確立したベラ・ルゴシ『魔人ドラキュラ』
ドラキュラ映画で初めて正規に映画化された『魔人ドラキュラ』(1931年)
セットの豪華さ、スローで荘厳な演技、そしてベラ・ルゴシの眼力でみごとにゴシックホラーを表現されています。
撮影以前にはドラキャラ役はベラ・ルゴシではなく他の人気俳優が候補に上がっていたものの、費用の面や候補に上がっていた俳優の死去などのため、ブロードウェイの舞台で500回以上ドラキュラ役をすでに演じていたベラ・ルゴシが抜擢されました。
黒服に襟の立った黒マントの出で立ちは、本作品の脚色をしたハミルトン・ディーンが興行していた舞台でのドラキュラから来ています。舞台での脚本の都合から、ドラキュラの設定は黒の夜会服を着こなす貴公子のイメージが必要に。襟の立ったマントも舞台のイリュージョンの演出の名残です。
獰猛なドラキュラ、クリストファー・リー『吸血鬼ドラキュラ』
ドラキュラ映画の傑作と名高いクリストファー・リーの『吸血鬼ドラキュラ』。イギリスの映画製作会社ハマー・フィルムが『魔人ドラキュラ』をリメイクした作品でドラキュラ映画初のカラー映画。
ベラ・ルゴシが静のドラキュラなら、リーは動のドラキュラ。紳士の気品と怪物の凶暴さを併せ持ち、女性を魅了するセクシーさ。
『吸血鬼ドラキュラ』は人気をはくし、ハマー・フィルム製作のドラキュラ映画はシリーズ化され9作品も制作されました。(そのうちクリストファー・リーがドラキュラを演じたのは7作品)
妖艶でエロティックなコッポラ版『ドラキュラ』
ブラム・ストーカーの原作小説「吸血鬼ドラキュラ」を忠実に映像化し、かつエロチィズムなロマンス仕立てにしたドラキュラ映画の最高峰。
イケメン男爵から白顔老人、そして恐ろしい吸血鬼と七変化するゲイリー・オールドマン、話が進むにつれて魅力的になるウィノ・ライダー、名優アンソニン・ホプキンスがドラキュラと戦うヘルシング教授を演じています。
ゴシックホラー映画の名作はこんな作品もあります
ゴシックホラーの2大モンスター、フランケンシュタインとドラキュラを紹介しましたがゴシックホラーの名作は他にも多くあります。
いるのかそれとも狂気の幻覚か?『回転』
イギリスの古い貴族屋敷。ヒロインは両親と死別した兄妹の家庭教師としておとずれる。雇い主の兄妹の伯父に淡い恋心抱く。兄妹を悪の道に引きずり込もうとする悪霊の存在に気づくがその悪霊を見ることができるのは自分だけ……。
ゴシックホラーの名作として挙げられる『回転』。心理主義の先駆けでもある作品です。悪霊は本当に存在しているのか?兄妹から信頼を得られるのか?自分自身正常なのか?といった心理的不安が観客をホラーへ引き込んでくれます。
BBCドラマの『ネジの回転』はカラー映像となりこちらもとても美しい映像となっています。
ちなみのニコール・キッドマン主演の『アザーズ』は『ネジの回転』に影響を受けている作品です。
耽美でゴシックな世界観の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
現代に生きる吸血鬼ルイがインタビュアーを前に自らの半生を語り始める。
悪魔的美貌の吸血鬼レスタトによって永遠の命を与えられたルイ人間の心と吸血鬼の本能の葛藤に悩みながらもレスタトと行動をともに……。
メジャー映画なので表現を曇らせてありますが、ストーリーの中にBLや幼女への愛が盛り込まれていることでも当時は話題になりました。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の原作者のアン・ライスさんは、他の著書では百合やSMテイストも書いている作家さんです。
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もう耐えられない極限状態!パニック・ホラー
何気ない日常が突如崩壊し、主人公たちの精神状態を極限までに追い込んでいくパニック・ホラー。自然災害、大事故、未知の生物、脅威の動物そして人間によって引き起こされるパニックの恐怖と極限状態下での異常な人間模様が見どころのサブジャンルです。
動物パニックホラーの先駆けアルフレッド・ヒッチコック『鳥』
ある日突然、1羽のかもめがメラニーの額を突っつき飛び去っていた。これが事件の発端だった。理由もわからず鳥の大群が町の人々を襲いだす……。
原作は女流作家ダフネ・デュ・モーリアの「鳥」。なんの理由もなく鳥たちに襲われ、解決策もない不条理さと恐怖に包まれた町の人達の集団ヒステリーによる人間模様が見どころです。
スティーブン・キングの『ミスト』は舞台や設定が違いますが、恐怖を与える構成が類似しており、『鳥』をスティーブン・キングの世界観に当てはめて作られたのではないかと思います。
実話を題材に作られた『ジョーズ』
警察署長は、人喰サメと断定し海水浴場を遊泳禁止にしようとするが、市長と町の有力者が夏の観光による収入がなくなることから拒否される。そして、第2第3の犠牲者が……。
実話から発想を得て書かれたピーター・ベンチリーの同名小説を映画化された作品。
映画の前半は人喰サメの姿はほとんど出ず、あの有名なサントラが見えない人喰サメへの不安を煽り恐怖を盛り上げてくれます。
そして、後半は3人の男たちが人喰サメ退治のために大海原へ乗り出してアクション映画へと転換していきます。
一番怖いのはモンスターよりも人間?!スティーブン・キング『ミスト』

霧に包まれた極限の不安感、緊張感の中の一番恐ろしい人間の《脆さ、愚かさ、残酷さ》、原作とは違う衝撃のラストが話題になった作品です。
人間の狂気が最も怖いサイコ・ホラー
幽霊やゾンビなどで観客を怖がらせるものではなく、人間の狂気で観客を追い詰めるサブジャンルです。連続殺人やサイコパスなどを主に描いたホラー映画。
現実社会でも映画さながらの事件があり、サイコホラーはあなたにより現実的な恐怖を与えてくれます。
代表的な作品は、『サイコ』(1960年)、『エスター』(2009年)、『ミザリー』(1990年)、『羊たちの沈黙』(1991年)。
サイコホラーの傑作『サイコ』
不動産会社のOLマリオンは昼休みを利用して恋人と逢引。恋人とは経済的な理由で、結婚に踏み切れずにいた。会社に戻ったマリオンは、顧客が支払った4万ドルを車で銀行に預けに行く。しかし、マリオンは銀行に行かずに郊外へ車を走らせ、4万ドルを持ち逃げする。
逃走の途中でマリオンは、モーテルに泊まるが……。
ヒッチコックの大ヒット作品。そして、ヒッチコック作品では珍しくショッカー映画でもあります。出だしは男女の逢びきシーンでヒロインの下着姿で観客を引きつけ、その後ヒロインが犯罪者になることによりサスペンスへと変わります。
そして、有名なシャワーのショックシーンで観客の恐怖を一気に盛り上げてくれます。極めつけのラストで恐怖の谷に突き落としてくれます。
サイコ以外の映画にも影響をあたえている人物です。
ホラー映画の人気ジャンル!ゾンビ・ホラー
ホラー映画の人気ジャンル、ゾンビホラー。ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)が現在のゾンビ映画の礎となっています。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』以前にもゾンビ映画はありましたが、今日観られるような人を襲う動きの遅いゾンビ像ではありませんでした。
最初のゾンビ映画と言われている『ホワイト・ゾンビ』(1932年)。
『ホワイト・ゾンビ』はブードゥー教の言い伝えのゾンビ像を元につくられた映画です。ブードゥー教の呪術師が死人を生き返らせてゾンビを労働力として働かせています。
その後、何作品化ゾンビ映画が作られ、ジョージ・A・ロメロ監督によって『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でブードゥー教のゾンビと違った新しいゾンビ像を作り上げ、今日までのゾンビ映画に多大な影響を与えました。
今日のゾンビ映画の元祖『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』
ゾンビというインパクの強いモンスターだけに目が行きがちですが、不安を煽るオープニングシークエンスの撮影方法、パニックに陥った人間同士のいざこざ、まさかのラストといろいろな要素がつまった名作です。
ちなみに、ジョージ・A・ロメロのゾンビは『地球最後の男』の吸血鬼から影響されています。
ゾンビ映画初カラーイタリア・スペイン合作『悪魔の墓場』
ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をイタリア・スペイン合作カラーでリメイクした『悪魔の墓場』(1974年)。イタリアではジャッロ文学の影響があるのか、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』よりもよりゴア表現が強烈な作品となっています。ゾンビ映画としては『悪魔の墓場』が日本初公開作です。
ゾンビ映画の進化版ウィルス・ホラー
一時下火になったゾンビブームを再びブームを作り出したのが最初のゾンビブームを体感してきたクリエイター達でした。ウィルスに感染することにより、人間が凶暴化するゲーム『バイオハザード』から始まり、映画でも『28日後』や『ワールド・ウォーZ』などが登場してきます。
ジョージ・A・ロメロのゾンビと違い、走ったり行動力がある作品やゾンビ・アポカリプス思想といったゾンビによる世界の終末思想が題材が特徴的です。
走る!走る!走るゾンビ!『28日後』
怒りを抑制する薬を開発をする研究所。ある夜、精神を冒し即効性の怒りを起こすウィルスに感染している実験用チンパンジーが、侵動物愛護活動家たちによって解放されてしまう。
28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていた主人公は、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。人の影を求めて街へ飛び出した主人公は、そこで驚くべき光景を目にする…。
イギリス版ウィルスゾンビ映画。
ウィルスによって凶暴化しているだけなので、生きているから厳密にはゾンビ映画ではありませんが、ゾンビ映画のくくりになる映画です。
『トレイン・スポッティング』の監督さんならではのスタイリッシュな映像、アポカリプスな世界観、人間ドラマが見どころの作品です。
現代社会の闇を垣間見るモダン・ホラー
現代社会を舞台にストーリーが展開されるホラー。現代社会の闇やいびつな人間関係を題材にされる場合もあります。また、クラシック・ホラーに対して現代のホラー全般をモダン・ホラーと言われる場合もあります。
『キャリー』(1976年)『シャイニング』(1980年)『IT』(1990年)などのモダン・ホラーの巨匠スティーブン・キング作品が真っ先に思いつきます。
モダン・ホラーの金字塔、オカルト・ホラーの先駆け『ローズマリーの赤ちゃん』
マンハッタンに引っ越してきた売れない役者のガイと妻のローズマリーはいわくつきの古いアパートに引っ越ししてきた。ある日隣人の老夫婦の養女が飛び降り自殺をする。それをきっかけに老夫婦と知り合いになり、養女が身につけていた薬草入りのペンダントをプレゼントされる。やがて悪夢とともに妊娠したローズマリーは、情緒不安定に陥っていく……。
原作者のアイラ・レヴィンが当時問題になっていた「サリドマイド事件」をヒントに書いた小説を映画化した作品です。無毒な睡眠薬として開発されたサリドマイドを妊婦が飲むと奇形の幼児が出産され、「悪魔の薬」と擬せられました。
悪魔が出たり、ショッカーで驚かせず、心理的に観客に恐怖を与える作品。妊娠したローズマリーは自分の周りの人間が悪魔崇拝者なのか、それともマタニティブルーによる妄想なのか精神的に追い込まれていきます。
この作品が発表された年代あたりから、アメリカではカルト宗教の問題が顕著化しています。実際、映画発表後チャールズ・マンソン率いるカルト集団によってポランスキー監督の妻シャロン・テートが妊娠8ヶ月の時に惨殺されます。映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の中で描かれている事件です。
極限の恐怖!エクストリーム・ホラー
ホラー映画は、殺人行為、残忍な表現、不穏な物語ばかりです。しかし、そのホラー映画の中にさえ、一般的なホラー映画よりもさらに恐怖を超えたジャンルがあります。 「エクストリーム・ホラー」というジャンルは、限度を超えた暴力的で露骨な表現の映画。スプラッター、スラッシャーのジャンルの映画が多く含まれています。精神に多大な悪影響を及ぼす恐れがあるため、年齢制限がかかっていることが多いです。
エクストリーム・ホラーの多くは、精神に悪影響を与える表現の衝撃をはるかに超ます。そのような表現は、批評家や政府当局によっても広く非難されています。そのため、これらの映画の多くはさまざまな国でも禁止されており、それらのいくつかはこれまで主流になりませんでした。
しかし、一般的なホラーでは物足りなくなっているホラーファンにとって、エクストリーム・ホラーは、コアなホラーファンに人気があります。
血!血!血!見るに耐えられない!スプラッタ・ホラー
血しぶきなどのグロい描写のホラー。
splatter(スプラッター)とは「液体がばちゃばちゃと跳ねる」ことの意味。血が飛び散るような殺人事件のシーンがあるホラー映画を指します。
代表的な作品は、『ホステル』(2006年)『マーターズ』(2008年)『ハイテンション』(2006年)など。
スプラッターは映画以前の起源は、フランス、パリに19世紀末から20世紀半ばまで存在した大衆芝居・見世物小屋のグラン・ギニョール劇場。
一般的な劇場では興行されない恐怖残酷劇(妖怪譚、嫉妬からの殺人、嬰児殺し、バラバラ殺人、火あぶり、ギロチンで切断された後も喋る頭部、外国人の恐怖、伝染病など)をメインに興行されていました。
おぞましい!人喰い系スプラッター
人が人を喰らう、見るのも耐えないカニバリズムホラー。
モキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)『怪奇!魔境の裸族』(1973年)が食人族を題材にした映画が上映されます。その後、『カニバル』(1977年)『食人族』(1980年)『食人帝国』(1980年)と一大ブームが起きました。
フィクション作品では、『悪魔のいけにえ』(1974年)を始め、『サランドラ』(1977年)や『ハンニバル』(2000年)などがあります。カニバリズムシーンはこのような名作たちをより怖い作品に仕上げてくれます。
意識高い系環境活動家気取りの学生たちが餌食に!『グリーン・インフェルノ』
アマゾンでの森林伐採の不正を暴くため現地に訪れた環境活動家の学生たち。度を超えた活動が問題となり強制送還される。しかし、帰りの飛行機トラブルが起こりジャングルに墜落してしまう。
なんとか生き延びたものの、そこで彼らを待ち受けていたのは人間を食べる習慣を持つ食人族だった……。
「ホステル」シリーズのイーライ・ロス監督がモキュメンタリー映画『食人族』をモチーフに映画化。CGを使わずアナログでのゴア表現がより恐ろしさを醸し出します。
イーライ・ロス監督らしいブラック・ユーモアもあります。
観ているこちらまで痛くなる!拷問系スプラッター「トーチャー・ポルノ」
単に殺されるよりも精神的・肉体的にも追い詰めていくトーチャポルノホラー。
「トーチャポルノ」とは「拷問(トーチャ)」+「ポルノ(性的興奮)」を組み合わせた造語です。拷問系のスプラッターホラーを指すサブジャンル。
2000年代に入ってからスプラッター映画は、「拷問」という観客に戦慄を与える要素を手に入れました。『ホステル』(2005年)や『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(2005年)あたりからトーチャポルノを題材にしたホラーが出はじめます(2004年公開のソウは拷問シーンがあるものの監督はスリラーとして撮影しています。)。
拷問クラブ!『ホステル』
次々と犠牲者が!スラッシャー・ホラー
スラッシャー(slash)は、さっと切るや切り開く、斬りつけるという意味から、ホラー映画において殺人鬼が次々と殺人を繰り返すストーリーの作品を指します。
スラッシャー映画の祖とも言えるのは『Thirteen Women』(1932年)。現代のスラッシャー映画のように斬りつけるような殺人方法ではありませんが、次々と人を殺していくストーリーの構造がのちのスラッシャー映画に影響を与えています。
スラッシャーはスプラッター、クリミ映画(西ドイツを主とする、フィルム・ノワール調の映像スタイルやホラー・タッチの犯罪サウペンス映画)、ジャッロ映画(イタリアにおけるミステリ小説、犯罪小説、探偵小説)からも影響を受けています。
スラッシャー映画ブームの先駆け『ハロウィン』
人体の限界と異形への変容!ボディ・ホラー
異常な性別、異形への変容、切断、ゾンビ化、不当な暴力、病気といった人体の限界を用いたサブジャンルです。
スラッシャー、スプラッタ、ゾンビなどのサブジャンルとかぶります。しかし、ボディ・ホラーは人体の破壊と変容の表現で観客を怖がらせ、ほかのサブジャンルとはメッセージが異なります。
ボディ・ホラーの先駆けとして、デヴィッド・クローネンバーグ監督の名前が上がりますが、題材としては『フランケンシュタイン』などのゴシック・ホラーで、すでにボディ・ホラーの要素が観ることができます。
グロテクスだけが見どころでない悲愛のストーリーも素晴らしい『ザ・フライ』
ホラー映画に欠かせないサブジャンル!オカルト・ホラー
科学では解明できないよう現象をもちいて表現されるホラー映画。なので、幽霊・怨霊系や宗教色が強い作品が多いです。
代表的な作品は、『エクソシスト』(1973年)『オーメン』(1976年)、最近の作品では『死霊館』(2013年)も名作です。
我が子は悪魔の子!?『オーメン』
陰湿な怖さと悲しい物語に引き込まれる、ジャパニーズ・ホラー
鈴木光司原作の映画『リング』をハリウッドでのリメイクをきっかけに、ジャパニーズ・ホラーというサブジャンルが誕生し、一大ムーブメントが巻き起こりました。
ジャパニーズ・ホラーの特徴は、「黒髪」「淀んだ水」といったジメッとした陰湿な映像、海外ホラーに比べ話の展開がゆっくりで空気が重い、そして物悲しい物語も盛り込まれているところでしょうか。
日本の最初のホラー映画の一つとして挙げられるのは、新藤兼人監督の『鬼婆』(1964)。アイスランドの歌姫ビョークが子供の頃に感銘を受け、ウィリアム・フリードキンやシャム・シェパードの目にもとまった作品です。
また、『ゴジラ』はNEOモンスターとして人気を呼びました。今では、アイコン化し怪獣ジャンルが確立さてているため、ホラージャンルには含まれませんが、当時はホラーとして観られていました。
ジャパニーズ・ホラーブームの立役者『リング』
海外ホラーファンにカルト的人気の『オーデション』
強烈なゴア表現!タフなヒロインが立ち向かう、ニューウェーブ・フレンチホラー
2003年に公開された『ハイテンション』をはじめ、『マーターズ』『屋敷女』『フロンティア』といったゴア表現が過激な作品のムーブメントがフランスで興りました。
ゴア表現ばかりに注目しがちですが、スタイリッシュな暴力表現・キャラクターの感情と様式的なバイオレンスにより描かれるタフなストーリーが特徴でしょうか。
強烈なゴア表現は、グランギニョールといった残虐劇場の歴史があるので、お得意の分野なのでしょう。
また、タフな女性ヒロイン・モンスターもニューウエーブ・フレンチホラーの特徴です。フランスはフェミニズムの起源の国。女性と男性を同等に扱うお国柄です。ホラー映画にもその特徴が現れています。
アメリカの一般的なファイナルガールは、最初は弱々しいヒロイン像でストーリーが進むにつれて覚醒するといった感じです。しかし、フランスのファイナルガールはタフなヒロイン像で描かれる作品が多いです。すでに戦う力があり、事件の中で力を磨いてる感じです。イメージとしては『エイリアン』のリプリーのイメージがちかいと思います。
芸術大国フランス、映画も例にもれず娯楽としてはもちろん文化的、芸術としてフランス国民に親しまれている産業です。しかし、ホラー映画においてはフランス産ホラーはフランス国内で人気がなく、映画として認められていません。 そんなホラー映画不毛の地[…]
ハサミを振りかざし妊婦に襲いかかる恐ろしいヴィラン『屋敷女』
笑いとホラーと実は相性がいい!?コメディ・ホラー
「ホラー」と「コメディ」相反するジャンルにも思えますが、実は相性がよいジャンルです。どちらもアルフレッド・ヒッチコックがいうサスペンスの手法が使われています。
サスペンスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「サスペンス」と「スリラー」どちらもハラハラ・ドキドキする展開の映画だとわかるけど、何が違うのかわからないと思ったことはありませんか? DVDレンタルショップ、映画雑誌、動画配信サービス、映画WEBメディアなどそれぞれジャンルの表記が「サ[…]
アルフレッド・ヒッチコックがいうサスペンスとは、噛み砕いていうと「これから起こりうる予想できる出来事の結果への感情の決壊」
フィクションの中のフィクション!?メタ・ホラー
メタフィクション・ホラーの略。
架空の物語であるフィクションを物語の中でフィクションとして取り扱うことです。
アキラ氏の物語る工房ブログでうまくまとめられているので引用させていただきます。
ウェキペディアや他の説明サイトの例を挙げると、
・「フィクション内フィクション」
・「作者が登場する物語」
・「物語を創る・見る人に関する物語」
・表題、区切り、プロット、構成、キャラといった「物語の約束事や客観視点からでなければ分からない事柄に触れる物語」
・物語の登場人物として「期待される行動と自覚した上で行動をとる登場人物」
・自分が「フィクション内にいる自覚を表明する登場人物」
・物語に注釈を入れつつ物語を進める「叙述的脚注」
・「メタ視点によって通常と異なる順序で楽しむ事ができる非線形の物語」/物語に対する「読者の反応を予想する物語」等の条件に当てはまる作品がメタフィクション作品となる。
Contents hide 1 メタフィクションは世界を繋げる 1.1 『劇中劇』 1.1.1 作品例 1.1.1.1 …
スラッシャー映画の中に入ってしまった!?『ファイナルガールズ 惨劇のシナリオ』

母に会うことができて喜ぶマックスだったが、殺人鬼ビリーも現われ、映画の脚本通りにストーリーが進んでしまう。無事に映画の中から脱出できるのか…。
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近未来的の恐怖!SF・ホラー
SFとホラーはとても相性がよく、まだ見ぬ未知の世界を恐怖をもって見せてくれます。SFホラーは古典『フランケンシュタイン』から現代までと歴史も長くホラーファンを楽しませて来ました。
近未来の科学や宇宙といった題材は、観客を未来への期待とともに未知なる恐怖を与えてくれます。
新たな人類への恐怖!サイキック・ホラー
未知数な恐ろしい力を持つ超能力者。その力が悪意のあるものたちが使ったら、そして能力を使いこなせず振り回されてしまう恐ろしさ。
超能力者同士の善と悪の戦い『スキャナーズ』
絶対絶望的な恐怖!!コズミック・ホラー
宇宙や神々(悪魔)といった人間の力が及ばない絶対的他者に対する恐怖や不安を描いたホラー。異世界からやってくる悪魔や怪物などもコズミック・ホラーの対象になります。
コズミック・ホラーは、小説家ハワード・フィリップス・ラブクラフトが生み出した架空の神話体系「クトゥルー神話」が多大な影響を与えています。その影響は70年代以降の映画のみならず、小説はもちろん漫画・ゲームなど多様なジャンルに見られます。
数多くのホラー映画でもその影響は見られます。『ビヨンド』(1981年)、『死霊のはらわた』(1981年)、『キャビン』(2012年)、モダンホラーの大家スティーブン・キングの作品たちにも架空の街「キャッスルロック」や「中間世界」「ダークタワー」といった異世界設定に影響があります。
クトゥルー神話に登場する架空の書物「ネクロノミカン」をモチーフにしたオムニバス映画『ネクロノミカン』
『死霊のしたたりシリーズ』のブライアン・ユズナ、 『サイレント・ヒル』のクリストフ・ガンズ、『デスノート前編』『あずみ2Death or Love』の 金子 修介がそれぞれ監督をされています。
出来栄えはB級ですが、クトゥルー神話世界観を映像で見るならこの作品がおすすめです。
戦慄の世界観!ダーク・ファンタジー
ファンタージーと聞くと、妖精や魔法といったメルヘンチックなイメージが浮かび上がる方も多いかと思います。しかし、定義するにはとてもむずかしく曖昧なジャンルとなっています。広義的に考える「現実には起こり得ない世界観」がファンタジーと言えます。
そのようなファンタジーの世界の中でも、悲劇的展開、残酷な描写、不条理な世界観を描いたダーク・ファンタジーと言うジャンルが存在します。ホラージャンルの中ではゴシック・ホラーを指す場合もあり、クトゥルー神話の世界観をもとにした現実と非現実が混在した作品を指すこともあります。
鮮烈なビジュアルイメージ『ヘルレイザー』
ダーク・ファンタジー小説家で、監督・脚本家であるクライヴ・バーカーの小説『ヘルバウンド・ハート』をパーカー自身が監督した作品。顔中ピンだらけの強烈なDVDジャケットはホラーファンでなくとも忘れることができないインパクトがあります。
クライヴ・バーカーが監督になった理由は彼の短編小説「髑髏王」を映画化した『ロウヘッド・レックス』があまりにもお粗末だっかたらと言われています。
虚構と現実が交差する世界『マウス・オブ・マッドネス』
そしてケイン担当の編集者のリンダ・スタイルズとともに捜索するうちに、ケインの小説に出てくる架空の町ホブス・エンドにたどり着く。
そこで二人は現実を自由に変え、人類を滅ぼそうとするケインの野望を知るのだった…。

サスペンスとスリラーの違いについて
サスペンスとスリラーは、ジャンルとしてとても似ている上にスリラー映画・ホラー映画の中でサスペンスを手法として使われているのでとてもわかりにくいサブジャンルです。
「サスペンス」とは観客に持続的不安と緊張を与えることを一番の目的として作られ、〈犯罪要素〉と〈ホラー”怪物や超常現象”〉がない作品と言えるが、現代においては〈犯罪要素〉のある「スリラー」も「サスペンス」と一括にされる傾向にあります。また、観客にハラハラ・ドキドキの感情を起こさせる手法として多くのジャンルに使われています。
「スリラー」は、スパイ・ハードボイルド映画が起源であり、〈犯罪要素〉と〈サスペンス〉手法、ショック表現を使って観客をハラハラ・ドキドキさせることが一番の目的として作られた映画のジャンルのこと。しかし、現代では「スリラー」のジャンルは衰退し「サスペンス」と「ホラー」に分類されることが多くなっています。
「サスペンス」と「スリラー」どちらもハラハラ・ドキドキする展開の映画だとわかるけど、何が違うのかわからないと思ったことはありませんか? DVDレンタルショップ、映画雑誌、動画配信サービス、映画WEBメディアなどそれぞれジャンルの表記が「サ[…]
サスペンス系
サスペンスとは、観客に不安・ハラハラ・ドキドキを与えることが主目的の映画を指すと共に、他ジャンルにおいては手法として使われます。
サスペンスの手法は、ホラー映画に限らずあらゆるジャンルに使われます。スリラー・アクヨンはもちろん恋愛・コメディにさえ見えない形で使われています。
ジャンルとしては、観客に不安・ハラハラ・ドキドキを与える作品を指します。
音を立てたら即死!『クワイエット・プレイス』
スリラー系
スリラーは、スペンス、ショックを用いたスパイ物や犯罪が絡む映画です。しかし、最近ではスリラーというジャンル分けはされてこなくなりサスペンスにまとめられています。監禁系『ホステル』やスラッシャー系の『スクリーム』もスリラーに入ります。
ソリッドスチュエーションスリラー
ソリッドとは「ハードな、斬新な、堅い」などの意味です。 つまり「斬新で刺激的な限られた空間でのスリラー」という意味です。
限定的な空間や場所、設定上で起こる犯罪を描いたジャンル。限定的な空間から脱出できない状況でより主人公たちを恐怖へと追い詰めていきます。『ソウ』シリーズや『CUBE』などがあげられます。
密室での極限の恐怖『ソウ』
価値観が違いが怖い!フォーク・ホラー
フォーク・ホラーとは、イギリス発祥のミニズム(精霊信仰)やパガニズム(異教信仰)が背景に描いているホラーです。先祖の霊をなだめるために人間を犠牲にする、登場する集団が特定の人物に超常現象が発見されるという観念を持っている、美しい風景で描かれているが表現は奇妙で恐ろしく示唆に富み不気味に感じられる、といった内容で描かれています。
フォークホラーの代表作は、『The Witchfinder General』(1968)、『The Blood on Satan’s Claw』(1971)、『ウィッカーマン』(1973)があります。
最凶の失恋ホラー『ミッドサマー』
しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。

まだまだある!マイナーなジャンル
クラウン(ピエロ)
一つのジャンルとなりつつあるクラウン。本来サーカスで演じるカワイイ道化師というアイコンでしたが、『IT』のペニーワイズや『バットマン
』のジョーカーなどの映像メディアによる怖いクラウン像により、現代ではホラー映画の人気クリーチャーになっています。
最近では、そのような映像メディアの影響か「道化恐怖症」という恐怖症も出てきています。俳優のジョニー・デップも自身が「道化恐怖症」だと告白しており、克服のためあえてクラウンのグッズを身近においています。
サーカスに登場するひょうきんなキャラクター、ピエロ。 一昔前までは見る人達を愉快な気持ちにさせる人気者でした。しかし、近年では小説・映画の影響により人々を恐怖に陥れるシンボルとしても認識されるように。 白塗りの顔面に赤い鼻、そして真っ赤で大[…]
POV(主観ショット)
カメラの視線と登場人物の視線が一致した撮影手法POV。POVはホラー映画ととても相性がよく、一つのジャンルになっています。ホラー映画は主観であればあるほど、観客に恐怖を与えてくれます。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『REC レック/ザ・クアランティン
』が有名です。
巨大生物・巨大モンスター
人類は古くから、クラーケンやロック鳥といった巨大生物に恐怖を抱き、伝説として語り継がれてきました。そして、映画でも巨大生物への恐怖を題材として作られてきました。アーサー・コナン・ドイルのSF小説「失われた世界」をもとにした『ロスト・ワールド』(1925)を始め、『キングコング』(1933)といった作品が観客を驚かせます。1959年代に入ると続々と巨大生物の映画が撮られ、日本でも『ゴジラ』(1954)が公開されました。
巨大化した蟻を描いた『放射能X』(1954)や巨大な蜘蛛『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』(1955)などの身の回りにいる生き物が巨大化した映画。また、恐竜を始めとするゴジラシリーズや『パシフィック・リム』(2013)などの怪獣系映画に分かれます。
日本ではこのような巨大生物ものは、”特撮ジャンル”に分類されますが、海外にサイトを見ているとホラージャンルに分類されています。
NEOモンスター
狼男や半魚人といった古典モンスターよりも、より恐ろしい怪物たち求めて新しい怪物たちが生み出されています。『パンプキンヘッド』『ディセント』のような見るも恐ろしい怪物たちが創り出されています。
妖精
民話やおとぎ話は、書物になる以前から伝承としてかたり継がれてきました。その物語の中には伝説のいきものや想像のいきものなどのクリチャーたちが登場します。クリーチャーたちは可愛い存在だけではなく、中には人々を恐れさせる存在もいます。
白雪姫の継母をヒロインに描いた『スノーホワイト』(1997年)や赤ずきんをモチーフにした『狼の血族』といった作品があります。
南部ゴシック&田舎
アメリカ南部における南北戦争敗戦以前にあった、〈人種・階級・ジェンダーの差別〉や絶対的な父実権が南北戦争敗戦後、崩壊・失墜を背景に描いた南部文学からホラーの要素を抽出したジャンル。あからさまな人種差別、利己的な人格の住民、土地特有の閉塞感といったこれらのグロテスクな設定をホラーに用いたジャンルです。
『悪魔のいけにえ』のストーリー・ラインは、ウィリアム・フォークナーの「サンクチュアリ」に類似している所から南部ゴシックに分類されます。『ジェサベル』『2014年)『エンゼル・ハート』(1987年)なども南部ゴシックに分類されます。
ジャッロ
ジャッロとはイタリアの犯罪、ミステリー、スリラー、ホラーなどの犯罪・ミステリー小説全般のことを指します。また、エロティズムとスプラッター表現があり、のちのスプラッター映画に多大な影響を与えました。
映画史上初のジャッロ映画『知りすぎた少女』(1963年)はホラーと言うよりは、ヒッチコック的なロマンスサスペンスです。『影なき淫獣』(1973年)『タランチュラ』(1971年)はジャッロ映画の定番として名があがる作品です。
ショッカー/ショック映画
観客にショックをあたえて、恐怖を引き立てるサブジャンル。一時期は映画の一つのジャンルとして使われる言葉でもありましたが、スプラッター映画が確立されるとともに使われない言葉になりました。
『サイコ』(1960年)の有名なヒロインがシャワーを浴びているときに、ナイフで刺されるシーンが有ることからショッカーに分類されます。
ジュブナイル・ホラー
少年たちにふりかかる恐怖を描いたサブジャンル、ジュブナイル・ホラー。大人と比べ力がない少年たちは、力を合わせ恐ろしい怪物達に立ち向かいます。
友情物語、いじめっ子といじめられっ子の対立、幼いながらに純粋な恋心などホラー要素以外でも楽しめる作品が多い傾向です。
『学校の怪談』(1995年)、『IT/イット 』(1990年)『サマー・オブ・84』(2018年)
ホーム・インベーション
ホーム・インベーションとは「家宅侵入」。日本は治安がよくあまり身近に感じませんが、犯罪率が日本と比べ1.8倍のアメリカ(2005年)では身近に感じられるサブジャンルではないでしょうか。
『ホーム・インベーション』(2014年)、『ファニーゲーム』(1997年)、『サプライズ』(2011年)、『屋敷女』(2007年)
ニューロティック・ホラー
ニューロティックホラーとは、精神を病んでいく人を主人公に描いた作品。現実にある恐怖か、それとも幻覚か主人公が混乱していく恐怖をえがいた作品が多いです。
ストーリーに精神鑑定が語られる映画もニューロティックホラーに含まれ、ヒッチコック監督の『サイコ』(1960年)もこのサブジャンルに含まれます。
『回転』(1961年)、『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)
ホリディ・ホラー
祝休日の一般的なイメージやテーマなどを題材とした作品。祝休日になぞらえた殺人が行われることがすことが多く、幸せな家族が祝休日のイベントを過ごすことに対して、殺人をもって皮肉を込めている意味合いもある。
『ハロウィン』(1978年)、『グレムリン』(1984年)
ホラー・パニックジャンル
洋画・邦画の見放題作品数958作品の
U-NEXT
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参考WEBサイト
https://en.wikipedia.org/wiki/The_House_of_the_Devil_(1896_film)
https://gigazine.net/news/20160912-a-history-of-horror-film/
https://denji-ch.hatenablog.com/entry/2020/09/07/234012
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャッロ
https://tokyo.whatsin.jp/11470
http://www.edu.utsunomiya-u.ac.jp/sociology/2017saitou.pdf
参考書籍
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