この映画、サスペンス?スリラー?何が違うの?

「サスペンス」と「スリラー」どちらもハラハラ・ドキドキする展開の映画だとわかるけど、何が違うのかわからないと思ったことはありませんか?

DVDレンタルショップ、映画雑誌、動画配信サービス、映画WEBメディアなどそれぞれジャンルの表記が「サスペンス」だったり「スリラー」だったり、ましてや「ホラー」だったりして困惑したことはないでしょうか?

「サスペンス」と「スリラー」、ジャンルとして存在しているものの、その線引は非常に複雑な上時代と共に変化もしています。その上、観客や映画メディアといった受け手の感じ方にも多大に左右されるものです。

そんな、「サスペンス」と「スリラー」を映画専門用語とヒッチコックや映画評論家の言葉を調べてみました。

本記事は2020年12月7日に作成しました。作品画像は商品リンクになっています。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

まずは、結論として

「サスペンス」とは観客に持続的不安と緊張を与えることを一番の目的として作られ、〈犯罪要素〉と〈ホラー”怪物や超常現象”〉がない作品と言えるが、現代においては〈犯罪要素〉のある「スリラー」も「サスペンス」と一括にされる傾向にあります。また、観客にハラハラ・ドキドキの感情を起こさせる手法として多くのジャンルに使われています。

「スリラー」は、スパイ・ハードボイルド映画が起源であり、〈犯罪要素〉と〈サスペンス〉手法、ショック表現を使って観客をハラハラ・ドキドキさせることが一番の目的として作られた映画のジャンルのこと。しかし、現代では「スリラー」のジャンルは衰退し「サスペンス」と「ホラー」に分類されることが多くなっています。

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ヨウジ
それでは、映画監督や映画評論家の言葉、映画専門用語を引用しながら「サスペンス」と「スリラー」について説明していきます。

ちなみに、近接・重なるジャンルとして、「ホラー」と「ミステリー」があります。「ホラー」は基本的に”怪物”や”超常現象”がプロットの中に含み〈サスペンス〉〈ショック〉といった手法を使い、観客に恐怖を与えることを目的に作られたジャンル。「ミステリー」は”謎解き”といった推理が主目的のジャンルであります。しかし、最近では「ミステリー」も「スリラー」や「ホラー」、「ファンタジー」など広義なジャンルを含まれる事も見られます。

エモーションが重要な「サスペンス」

「サスペンス」“suspense” の語源は英語の「サスペンド」“suspend”から

世の中のギモンを解決するメディア『スッキリ』さんでわかりやすい記事があったので引用させていただきます。

サスペンスの語源は英語の “suspend” です。

susには「下に」という意味があり、pendには「つるす」という意味があります。こういった成り立ちから、 “suspend” は「つり下げる」「延期する」という意味になっています。

そして、 “suspend” を名詞にした形が “suspense” です。

引用:世の中のギモンを解決するメディア『スッキリ』さま

吊り下げられた宙ぶらりの不安定な状態が、観客に与える「不安」というエモーションが表現されています。また、「延期する」「未解決」といった意味もあり、その不安な状態が引き伸ばされている様子も「サスペンス」というジャンルの特徴を表しているように思えます。

現代映画用語辞典でのサスペンスの項目を調べると

サスペンス

■映画ジャンル。サスペンス感を核とした映画群を指し、日本で〈スリラー映画〉と同義に用いられている。サスペンス(suspense)は未決定・宙ぶらりんこの状態や、不安・持続的緊張・これからどうなるか知りたくなる感覚などを意味し、スリラーの重要な要素かつ手法でもある。スリラーがジャンルとして定着する以前はその種の映画を”サスペンス・フィルム”と呼んでいたと言われ、スリラーの呼称が主流になっても定義は曖昧なまま併用されていた。しかしスリラーの定義もまた曖昧で、多様なジャンルと重なりジャンルの細分化に伴ってスリラー作品でも別のジャンル用語で呼ばれることがある。また、かつてスリラーと呼ばれていたものが〈フィルム・ノワール〉に再定義される、というようなこともあり、スリラーの呼称は徐々に衰退。世界的に犯罪スリラーが定番作品として作られるようになった90年代頃より、スリラーに代わってサスペンスの呼称が優勢となった。

引用:現代映画用語辞典より

「サスペンス」はジャンルでもあり、映画の表現方法の1つでもあります。

メインジャンルとして考えると、時代によって移り変わりがあるものの「サスペンス」は観客に持続的不安と緊張を与えることを一番の目的として作られ、〈犯罪要素〉と〈ホラー”怪物や超常現象”〉がない作品といえるが、現代においては〈犯罪要素〉のある「スリラー」も「サスペンス」と一括にされる傾向にあります。

手法として効果的に「サスペンス」を使い初めている小説を考えると、『ドラキュラ』や『ノートルダムド・ド・パリ』といったゴシック・ロマンス小説をから始まっていると言えます。

ゴシック・ロマンス小説家でもあったエドガー・アラン・ポーは『モルグ街の殺人』といった史上初の推理小説を発表。

エドガー・アラン・ポーから多大な影響を受けたヒッチコックは、推理小説から謎解き要素を抜いたスパイ・ハードボイルド小説が「スリラー」というジャンルを確立し、『鳥』や『レベッカ』ではゴシック・ロマンス作家ダフネ・デュ・モーリアの原作を見事にモダンサスペンス映画に仕立て上げます。

手法としての「サスペンス」を理解するために「サスペンス」の神様、ヒッチコックの言葉を紹介します。

エモーションこそサスペンスの基本的な要素だ。『ふしだらな女』の電話交換嬢の場合は若い男と女が結ばれてほしいという彼女の欲望がエモーションになっているわけだ。『ふしだらの女』の例で言えば電話交換嬢がついきくともなくレシーバーから聞こえてくる若い男と女の会話に耳を傾けるシーン。
男と女の姿は出てこず、会話の字幕もない。ただ、二人の会話を聞いている電話交換嬢のはんのうだけだから、彼らが結婚について話しているということがわかるという仕掛けだが、ここで電話交換嬢の心はサスペンスでいっぱいだ。彼女はドキドキしながら電話の中の会話に耳を傾けその成り行きに固唾をのみこむ。

引用:定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォーより

電話交換嬢は、若い男女の通話を盗み聞きするシーン。その場面では、電話交換嬢の姿だけが映り、男女の姿はありません。そして、会話の字幕さえもなく電話交換嬢の表情だけで結婚の約束が出来たことがわかるように表現されています。

このシーンを観ている観客は、電話交換嬢の表情を通じて彼女のドキドキするエモーションを共感し、感情を掻き立てられます。

つまり、最悪の結果。もしくは、最良の結果のどちらかを迎える重要なシーンやシーンクエンスが持続的に保たれる事により、観客に不安・ハラハラ・ドキドキといった感情を沸き起こさせる手法が「サスペンス」といえます。

なぎさ
こう考えると、「サスペンス」の手法は怖い映画だけではなく、コメディ・アクション・恋愛映画など幅広く使われていことがわかりますね

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スパイ物が始まりだった「スリラー」

「スリラー」”Thriller”は「スリル」”thrill”が語源

「スリラー」は中世ラテン語の「身震いする」の意味が語源のスリルがスラング化した言葉です。スリル”thrill”をもう少し調べてみたらすずきひろし氏のブログ『日本語と英語をつなぐ』で詳しく記事にされていたので引用させていただきます。

日本語と英語をつなぐ

「ゴリゴリの"gr"」という記事を書きました。今回は「胸を突き刺すthrです」。 thrがつく単語にはちょっといやな感じ…

今回は「胸を突き刺すthrです」。 thrがつく単語にはちょっといやな感じのものがあります。

「ぞくぞくさせる」のthrill(スリル)やthrilling。 これは前置詞の through とつながっているんです。
「徹底的に」のthoroughもthroughとつながっています。

「どつく」のthrust、「脅威」のthreat は別の系統のようですが、「こころを突く」というところで共通しているとおもいます。

引用:日本語と英語をつなぐさまより

ヨウジ
心情的な不安を表す「サスペンス」(suspense)とは違い、なにか身体的な脅威があるように見られますね。

現代映画用語辞典での「スリラー」の項目を調べると

スリラー

■映画や文芸などのジャンル。スリル(Thrill)は”恐怖や興奮でぞくぞくする感覚、戦慄”の意で、〈サスペンス〉を軸として観客にハラハラ・ドキドキのスリルを与える映画を〈スリラー映画〉と呼ぶ。厳密な定義はなく、ジャンル成立以前は、”サスペンス・フィルム”や”ショッカー”の呼称も使われ、時代や作品によって〈サスペンス映画〉の語に置き換えられた記述も多い。文芸分野では先行して”スリラー小説”の呼称が使われていたが、一説に、第二次大戦中から戦後にかけての1940年代、”ハードボイルド”を始めとするスリラー小説が流行し、同時に(のちにフィルム・ノワールと呼ばれる)同傾向の映画群が量産され、スリラー映画の呼称も一般化したという。スリラー映画の多くは、犯罪映画・探偵映画・スパイ映画・冒険活劇といったジャンル映画の定型を借りつつ、そのジャンルの核を追求するのではなくスリルを与えようとする(たとえば探偵映画ならば犯人探し・トリック描写を重視するのではなく、捜査過程のサスペンスを楽しませる)ため、犯罪スリラー、冒険スリラーといった複合型で使われることもある。

引用:現代映画用語辞典より

「サスペンス」(不安)と「ショック」(驚かす)使ッた、観客を興奮やハラハラさせる展開が「スリラー」と言えるみたいですね。ジャンルが確立された”ハードボイルド”を初めとする、”犯罪・探偵・スパイ・冒険活劇”といったジャンルをストーリーとして用いて観客にスリルを与えます。

1930年代から、ヒッチコックの『三十九夜』や『暗殺者の家』などの本格的スリラー登場してきます。

なぎさ
ちなみに、「ノワール」とは”黒”や”暗黒”といった意味があって、人間の悪意や差別、暴力などを描き出した闇社会を題材にした作品の総称です。
ではなぜ「スリラー」が誕生したかという背景について当時、映画評論家であった植草甚一さんの言葉を紹介します。
スパイ小説の特色の一つとして、たとえば、往来ですれちがった他人が、ひょっとするとスパイかもしれないと考えた瞬間、いつも見なれた周囲が急になんとなく様相をかえ、薄気味悪い感じをおびやかすといった描写のおもしろさがある。アメリカ人は、戦争中にこうした空気を吸っていたので、いきおいスパイ・スリラーが現実性をもちだし、映画でも受けるようになった。
スパイがでないサスペンス・ドラマが、やはり戦争中から流行しだしたのも空爆などの被害を直接受けていないため、現実的な不安を、かわりのもので味わおうという好奇心がはたらいていたのが理由である。
引用:サスペンス映画の研究(植草甚一 著)
1940年代といえば、第二次世界大戦があったあたり。事実第2次世界大戦ではスパイ合戦ともいえるぐらいスパイ活動が活発であり、二重スパイも存在していたぐらいです。


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